日本では明治時代から民法により成年年齢は20歳と決められていました。140年間変わらなかったこの成年年齢が、民法の改正により2022年4月1日から18歳に変わります。
では、成年年齢の引き下げにより何が変わるのか?見ていきましょう。
1)諸外国における成年年齢
まず初めに世界の国々では、成年年齢が何歳なのか?見てみましょう。
法務局の調査によると成人年齢のデータがある国・地域187の内、成人年齢が18歳(16歳、17歳も含む)の国や地域は、なんと・・・・141もあるようです。世界での成人年齢のスタンダードは18歳なんですね。
出典:法務局ホームページ
ちなみに日本にとって身近な国を詳しく見てみると
アメリカ:州によって異なる 18歳が37州、19歳が2州、21歳が1州
イギリス:18歳
シンがポール:21歳
韓国:20歳
中国:18歳
国によって、結構違うことが分かります。アメリカは州によって異なるため、面白いですね。
2)成年になると何ができるのか?
民法では成年年齢は
・1人で契約をすることができる年齢
・父母の親権に服さなくなる年齢
という2つの意味があります。
そのため、成年年齢に達すると親の同意がなくても、例えば、
・クレジットカードを作れるようになる
・一人暮らしの部屋の借りることができる
・携帯電話を契約することができる
・ローン(借金)を組むことができる。
というような契約が自分1人で出来るようになります。
しかしながら、成年年齢が18歳になったからと言って、何でもかんでも18歳からできるわけではありません。飲酒や喫煙、競馬などの公営競技に関する年齢制限は、今までと変わらず20歳のままになります。
3)成年年齢引き下げと教育現場
上記のように成年年齢の引き下げは、「親の同意がなくても、1人で契約を行うことができる」点が大きな変更点になります。高校を卒業したばかりの18歳の成年が親の同意なく、契約ができる。これは成年にとってよい点もあれば、気を付けないと危険な目にあうことも考えなければなりません。
<クレジットカードを作れるようになる。>
NHKの調査によると、成年年齢が18歳に引きされられることにより、最も関心がある項目を高校生100人にアンケートした結果がホームページに掲載されています。
出典:“18歳成人”高校生100人の声 一番の関心は「クレジットカード」
圧倒的に多くの高校生が関心を持ったのは「クレジットカードを作れるようになる」こと。昨今のオンライン決済やクレジットカード決済などのキャッシュレス決済の広まりが大きな原因になっていると思われます。
しかしながら、心配なのはクレジットカードを作る上で知っておくべきお金の知識について。便利なクレジットカードは使い方によって、善にもなるし、悪にもなります。正しい知識を持ち、正しくクレジットカードを使うことが重要なはずです。
では、高校ではどの程度、クレジットカードなどのお金の授業をしているのでしょうか?日本クレジット協会のアンケート調査によると、授業においてクレジットを取り扱っている時間数は、高等学校・中高一貫校では「1時間以上2時間未 満」であるとの回答が最も多く、中学校では「30分~1時間未満」が最も多い結果となりました。
出典:クレジット教育に関するアンケート結果 平成31年1月
成年年齢引き下げはすぐそこに来ているにも関わらず、ほとんどの学校で2時間未満しかクレジットに関する教育を行っていない。しかも5%の学校はほとんど行っていないという結果に驚きを隠せません。
確かに学校で教えることが年々多くなり、学校側の対応が大変なのは分かりますが、時代の変化が著しい現代社会において、教育、特に生徒が学ぶべき知識も時代に合わせて変えていく必要性を強く感じます。
4)まとめ
テクノロジーの伸展、世界の状況に合わせて、法律が代わっていくのは当たり前のことです。ただ、時代を担う子供たちに対する教育内容の変化が遅いように感じてなりません。金銭教育や性教育に関する遅れが昔から言われている日本の教育現場ではありますが、外部の力などをもっと活用して、「社会に出てから役立つ教育」を充実させる必要性を改めて感じました。成年年齢の引き下げという大きな転換点を迎えたこの機会にもう一度教育改革を見直すことを提案します。