■大学生にとって大きな問題である「奨学金返済」
現在、複数の大学と「ゲームを使ったお金の授業」の展開に関する議論を進めています。特に支出のバランスと貯蓄のやり方が学べる「Money Poker」の人気は根強いものがあります。「高校生まで親元で暮らし、大学生になって親の仕送りで暮らしている学生は、社会人になり経済的な自立をイメージ出来ている者が少ない」と、大学の先生たちは学生の将来に不安を感じているとのことでした。
その中でも大きな問題となっているのが「奨学金返済の問題」です。奨学金は学生自身の借金です。そのため、返済の義務が発生しますが、そこの意識が低い学生が多いとのこと。大学としては、学生にもっと「奨学金返済」を意識して欲しいというニーズがありました。
そこで今回、FPalでは現在奨学金を受給している、これから受給を検討している大学生に向けて、支出のバランスと貯蓄のやり方が学べる「Money Poker」に奨学金について楽しみながら学べるオプションを追加することとなりました。
■大学生の約50%が奨学金を受給している。
近年、学生の奨学金について書かれた新聞記事や報道を多く見かけます。これは、奨学金を受給する学生が大幅に増加していることが一つの要因と考えられます。独立行政法人日本学生支援機構の調査によると、2020年度で大学昼間部の奨学金受給状況は49.6%です。つまり大学生の約50%、2人に1人が奨学金を受給しています。1996年度の奨学金受給率は21.2%であったことを考えると、この20年強で倍以上の割合に増加しています。しかし、この傾向は2010年代からは高止まりしている状況です。
また、奨学金の返済を延滞している延滞者の状況を見てみると、とても興味深い傾向が見て取れました。奨学金申請時に申込手続きを行った者(申請の書類作成や入力作業を行った者)を奨学金返済の延滞者と無延滞者で比較したところ、「奨学生本人が申請を行った」と回答した割合が、延滞者は39.9%で無延滞者の60%に対して、大幅に少ないことが分かりました。「奨学生本人」と「本人と親等」の割合も併せて奨学金本人が申請に関わっていた割合を比べても、無延滞者では86.6%と奨学金本人が9割近く申請に関わっていたのに対し、延滞者は63.7 %に留まりました。延滞者の内の4割弱が学生本人の借金である「奨学金」の申請を本人が関わらずに行われているという事実に驚きを隠せません。
出典:独立行政法人 日本学生支援機構 令和元年度奨学金返済者に関する属性調査結果
https://www.jasso.go.jp/statistics/shogakukin_henkan_zokusei/2019.html
また、返済義務を知った時期を延滞者、無延滞者で比較をしたところ、無延滞者では約9割が申請手続きを行う前に知っていたのに対して、延滞者では約5割程度にとどまり、残りの半分(5割)は申請を行う前に返済義務があることを理解せずに申請を行っている事実も明らかになりました。特に驚きなのが延滞者の内、8.2%が延滞催促が来るまで返済が必要な事を知らなかったという事実も判明しました。
出典:独立行政法人 日本学生支援機構 令和元年度奨学金返済者に関する属性調査結果
https://www.jasso.go.jp/statistics/shogakukin_henkan_zokusei/2019.html
■重要なことは奨学金の仕組みを理解し、奨学金を借りる前に「奨学金返済」を意識すること
日本学生支援機構の調査から分かることは、奨学金を受給する前に奨学金が学生自身の借金であることを理解し、将来の奨学金返済の意識を早めにすることが重要ということ。また、奨学金には自身の収入の金額に合わせて返済額を減額できる「減額返済制度」や返済期限を猶予できる「返済期限猶予制度」などがあります。自分の収入と支出に合わせて上手に返済を行うことを返済が始まる前に学ぶことが延滞者を作らないポイントです。
減額返済制度 出典:独立行政法人 日本学生支援機構
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/gengaku/index.html
返済期限猶予制度 出典:独立行政法人 日本学生支援機構
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/yuyo/index.html
このたびFPalは、上記の点を楽しく学べるようにゲームを使ったお金の授業「Money Poker」に奨学金のオプションを追加しました。このゲーム授業を広く展開し、1人でも多くの奨学金の返済で悩む社会人を少なくしていきたいと考えています。こうご期待ください!!